「限界集落」。全国から人が集まる東京都心では無縁そうな言葉だ。
だが、国勢調査をもとに23区の町丁目ごとに高齢化率を算出すると、住人の半数以上が65歳を超える「限界集落」がいくつかあった。
少子高齢化が加速する日本で、都会でも例外なく、住人とともに街は老いている。そんな街を誰が支えるのか。地域コミュニティーのあり方を研究し、現代の孤立問題などに詳しい石田光規・早稲田大教授(社会学)に話を聞いた。
高齢者間に格差、地域の中で「覇権争い」
――高齢化率の高い都営住宅などの実情を取材してきました。団地内にコミュニティーづくりの担い手がいないと、街としての機能を維持するのが難しそうです。
誰がコミュニティーづくりを担うべきかと言えば、現状では基礎自治体である市区町村となるでしょう。ただ高度経済成長期以降の日本は、地域社会を弱らせ続けてきた。
一方、家族や親族間のつながりは衰退しているし、高齢化が進めば税収が減るのもほぼ間違いないとなってくると、地域で「互助」してくれないとどうにもならないのが現状なわけです。
――私たちは戸建ての多い世田谷区の事例も取材しました。こうした高齢化に伴う地域コミュニティーの問題は、公営団地にとどまらないのでしょうか。
そもそも高齢者間には、ものすごく格差がある。単純に資産だけではなくて、それこそ地域の人と人とのつながりである「ソーシャルキャピタル(地域の人と人とのつながり)」なんて言葉で言われたりするのですが、そういったものの差がすごく出てしまいます。
例えば、戸建て住宅の並ぶ住…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル